「顧客をファン化させるための取り組みとは?」The Marketing Day vol.1「急成長D2C・サブスク企業の経営者が考えるマーケティング戦略」(2/3)
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2.顧客をファン化させるための取り組みとは?
・生活者のコミュニケーションにおいて意識していること
・新規顧客とリピート顧客向けの接点構築
・顧客の「熱狂度」を高めるための施策
寺田 ありがとうございます。まさに今の体験のところなんですけど、大きく二つ目のテーマに移らせていただけばなと思っております。スライドが変わりますかね。「お客様をファン化させるための取り組み」を是非教えていただきたいなと思ってまして、airClosetさんの場合ですとまさに先ほど会社概要のところでご説明いただいた通り、毎回服をお送りして、いかがでしたかっていうコミュニケーションが発生されると思うんですけれども、これってすごくこう、何ていうんですかね。手間暇もかかるというかどういうふうに、そもそもコミュニケーションを何でやられているかとかも含めてですね。
天沼 我々そうですね。サブスクリプションで一番といっても過言じゃないぐらい大事なのがコミュニケーションかなって思っています。なので、いちばん最初からパーソナルスタイリングって我々が呼んでいるスタイリングも1点1点必ずゼロからお選びさせていただいて、コミュニケーションとしてもそれをただお届けするだけではなくて、なぜそのスタイリングにしたのかっていうのをスタイリスト一人ひとりがお客様に対してご説明するっていうスタイリングメッセージ、スタイリングコメントっていうのをお送りさせていただいて、この間、ちょうど7周年だったときに数えてみたんですよ。パーソナルスタイリストがお客様にこれまでいっぱいメッセージを送ってるんですけど、トータル7億文字ぐらい送っててですね(笑)
一同 (笑)
天沼 だから何だっていうあれなんですけど、1点1点コミュニケーションを独自に送ってきてるっていうところは意識してますね。で、もう一つは、マーケターの皆さんもしかしたら言って関係してくるかなと思うのは、コミュニケ―ションって言葉だけでもないと思っているんで、サービスとしてのコミュニケーションっていう意味合いで、これ皆さんもそうですけど、商材をお届けするときに、どういう個装でお送りするのかなっていうところですとか、送る中にどういうものを同梱させていただくのかだったりですとか、例えばairClosetだとファッションとの出会いなのでどういう出会い方をする。例えば洋服を今我々袋でお届けさせていただいているんですけど、これ横で切って引き出すときに左右どっちで引き出してもらうほうがいいんだろうかとかですね。そういう体験としてのコミュニケーションというのも大事にairClosetではしてますね。
寺田 そのスタイリストの方のコメントっていうのはアプリ上とかでやりとりしてるんですか?
天沼 そうです。基本アプリを皆さん、大体の方はダウンロードしていただいていて、そのアプリで見ることができますね。。全然、絶対見えないんですけど(スマホの画面を見せながら)。
寺田 意外と見えます。
天沼 意外と見えます? これ今届いている例えばこういうのですっていうのが見えて、アドバイスを見るっていうのを押すと、どのスタイリストさんが、このスタイリストさんだったら例えば出身地はこの方は東京ですね。旅行・アクセサリー制作が趣味のカナヨさんっていうスタイリストが今回スタイリングしましたよ、と。このコーデはどういう特徴で選んでるのかというところだったり、何に合わせるとより楽しんでいただけるのかっていうところを1点1点こうお届けさせていただいている。これはコミュニケーションとしてはすごく意識をしています。お返しいただいて、次にコーディネイトをお届けするときも前回のお客様からのフィードバックのメッセージに対してお答えをしていくっていうコミュニケーションを常に意識してますね。
寺田 なるほどなるほど。
森 なんかちょっと伺いたいのが、一見こう、先ほどあの天沼さんの自己紹介のときに、「自分は結構データの分析とか仕組み化みたいなのが結構好きな人間なんですよ」っておっしゃってたのが印象的だったんですけど、一見そういう方がファッションのコーディネイトサービスを立ち上げると全部AIにやらせちゃいそうじゃないですか。
森 なんで本当のスタイリストにお願いしてるんだろうって。そのへんって狙いとかあったりするんですか?
天沼 我々そのスタートがサブスクやろうとかレンタルやろうではなくて、お客様がたくさんのファッションに出会う体験価値を最大化したい、がスタートだったんですよね。なので社内でもUX、UXっていつも飛び交ってるんですけど、お客様体験を最大化するっていうのを私たちの目的にしていて最高のファッションとの出会いを作ろうっていうのが目的なんですよね。おっしゃる通り、我々データサイエンティストのチームもいて、人工知能の開発者もいるんでスタイリストのAIだったりですとかってできなくはない。実際にアルゴリズムをいくつも作ってるんですけど、我々がマーケティングを考えたり、経営を考えたりする中で、私たちがすごい大事にしてるのはデジタル、要はテクノロジーとアナログで行っていくことの結局はハイブリッドを常にやっていくわけじゃないですか。その時の意思決定のポイントをどこに置くのかっていうのを会社で決めておく、チームで決めておくっていうことを大事にしていてairClosetでは顧客体験なんですよ。っていうときに、AIのスタイリストよりもスタイリングを受けるっていう顧客体験を何度比べても、リアルなスタイリストのほうが高いんですよね。
森 満足度が。
天沼 満足度が。顧客体験が。かつコミュニケーションっていう意味合いでメッセージを送るっていうのもAIだとまだまだ送り切れない。なのでここが逆転するっていうのは当分訪れないっていうぐらい顧客体験価値が違う。お客様体験を優先すると、コストは圧倒的にもちろんかかりますけど、どっちを優先するかっていうと我々は顧客体験価値を優先しようっていうのが物差しになっているので、コストはかかるかもしれないけど、体験価値は高いという。
森 それほんと僕らもめちゃくちゃ一緒で、よくいろんな方に3Dスキャンとかスマホとかで撮影したらすぐ採寸できるようなやつでできないの、とか言われるんですけど。
天沼 ZOZOスーツとかありましたもんね。
森 あ、そうなんですよ。ああいうテクノロジー、人にとって。まあ、僕らは好きだから積極的にそういうの使ったりとかしますけど、一般のお客様ってすごく抵抗があるし、リアルでおしゃれな店員さんから提案されたほうが全然そっちのほうが満足度高いし、安心感が高いっていうこともあるので、やっぱりファンみたいな、ファンづくりみたいな文脈でいうと人のコミュニケーションでファンになっていくっていうのはかなり共通点はサービスごとにもあるのかなと思ってるのと、あとやっぱりファンの方々って一度こうなんていうんですかね。当然会員登録もしてくれるし、我々の場合は採寸のデータ登録もしてくれるし、いろいろパーソナルな情報をいろいろしゃべってくださってWEBでも登録してくださるんで、一度信頼ということを通してパーミションを得れば、得られるデータの量が全然違うみたいなところがあって、通常のリアル店舗だけでやってる昔ながらのテーラーさんに比べても我々かなりデータ量持ってますし、なぜならオンラインという武器があって入口がたくさんあるので、データをたくさん登録してくれるっていうタッチポイントが増えるので、データ量も違いますし、オンラインだけでやってるアパレルの企業よりもデータ持ってるっていうところもやっぱりLTVにはすごく寄与してくるかなとは思いますね。
寺田 面白いですよね。そのパーミションを超えるための人的コミュニケーション。で、パーミションを超えると、ぐっとLTVを高める手数が増えそうっていうのはすごい面白いなと思いました。
深山 なんかそこで人をたぶん我々も使ってるんですけど、人ってもちろんLTVを上げることもあればすごく下げてしまうこともあるわけですよね。そこの育成っていうのがたぶんものすごい大事なんだろうと思っていて、なんかそこ皆さんどうされているのかなっていう。
森 今日丁度午前中話し合ってたんですけど、そこほんとそうだなって思うんですけど、これたぶんお客様の育成フェーズの、お客様の育成って敢えて表現、今日はマーケティングの場なんで言うんですけど、お客様の育成フェーズで前段階と後段階で違うかなと思っていて、僕ら結構F1、F2、F3、F4ってこうリピートのフリークエンシーがあったときに、F2転換、F3転換まずここかなり人数も多いですしここは結構仕組み化しないと人力でやってたらやっぱりコストが合わなくなってくるってところはあるんで、ここって結構自動化するっていうベースを作って人が介入し始める。
深山 どんどん後になればなるほど、人力で。
森 人力になっていく。だからF6以降でいくと、もう相当なロイヤルカスタマーになるわけですよ、うちの会社とかだったら。ってなると単価5万円なんですよね。だから6回かぅてくれてるってことは30万円使ってくださってるんで、CPA1万円とかで取れてたら相当なROASじゃないですか。
一同 うんうんうんうん。
森 みたいな感じでいくと、そこ大事なんで、そこには人つけるんですよね。なんだけど、最初ここは、わーって何万人もいるんで、F1からF2っていうところは仕組み化して、それでもダメな人には人が介入していく。人が介入していくのはもっと+αでF5、F6、F7のあたりで介入し始めると、ここっていわゆるこう百貨店の外商みたいな感じで、お得意様みたいな感じの、担当者みたいな感じになりますし、そこにはつける価値もあるぐらいのLTV。貢献してくれているお客様かなと。そういう感じの話をちょうどしてましたね。
一同 なるほど。
天沼 あとその担当の育成みたいなところ深山さんの質問の軸であると思うんですけど、我々スタイリストが300名強いるんですけど、そのスタイリストさん一人ひとりのパーソナルスタイリングの品質によってもサービスがかなり変わってくる。サービスの品質が変わってくるので、そこはすごく大切にしていて、そっちは評価というか判断軸を完全にデータですね、我々は。
一同 へえ。
天沼 お客様に貸し出しさせていただいて、フィードバックのレーティングをいただくんですけど、そのレーティングが全部デイリーでデータとして集まるので、スタイリスト一人ひとりがどういう成績なのかっていうのと指名率がどれぐらいなのか、販売。まあ買い取りをお客様してくださるんで、どれぐらい。気に入ったら買ってくださるという意味合いでの販売の率がどれぐらいなのかっていうところと、スタイリストさん一人ひとりオンラインでスタイリングするんで、選定スピードもどれぐらいなのか。要は誰がいちばん効率が最も高いのかっていうところはデータで探れるので、そこは我々が評価軸に置いているデータですね。その手前は入口でもちろんすごいこれまでのように知識をつけてもらうとかは教育プログラム作ってやってますけど、その後はデータですね。スタイリストさんもあなたの今月の評価がこれぐらいですよっていうのがわかったりとか、あと何件ぐらいやるとどうなるのかがわかるように、そっちはもうデータでやってますね。
もう一つはできる限りサポートをしていきたい。そのデジタルでしていきたいっていう観点で、これあのいろんな正解があるかもしれないんですけど、我々例えば初回に登録していただいたお客様ってどのスタイリストがつくとそのお客様にとっていちばんよいかどうかって最初わからなかったんで、上から順番にだったんですけど、最近ではAIのアルゴリズムで過去担当していたお客様がスタイリストたちについてるわけですよね、データが。なので、近しい属性。登録情報の属性のお客様に、これ中身ブラックボックスなんでAIなんで見れないですけど、今オンライン上にいる我々のスタイリスト、ここに200人いたら200人のうちの誰がこのお客様に当たるとこのお客様の満足度が高いか。要は顧客体験が最大化できるためのサポートをAIでアルゴリズム作ったりとかっていうのは、スタイリストさん自身が一生懸命頑張らなくても確率が上がることに繋がるっていうことはテクノロジーで何とかサポートしていくっていう。
一同 なるほど。すごい。
寺田 そのスタイリストの方々の、少し選定に時間がかかってしまう方とか満足度が低いみたいな方に対しての底上げってどうされてるんですか?
天沼 個別に連絡してますね。
寺田 へえ。
天沼 我々スタイリストさんたちどこでも働ける形を取ってるんで、中には海外にいらっしゃる方もいらっしゃいますし、日本人の方とかでも。我々すごい赤裸々に言うと、Slackとかで繋がれるようになってるんで、例えば「急に評価が落ちたけど、どうしましたか」っていうのを問いかけをして、みたいなこととか、問いかけ前には我々のスーパーバイザーが過去のいくつかの選定を見て、「ここが急に悪くなってるけどどうしましたか」、ともう少し具体的な問いかけをしたりっていうのはさせてもらってますね。
寺田 ありがとうございます。Spartyさん、この既存のユーザーの方々とのコミュニケーションで意識されていることとか、いかがでしょうか。
深山 そうですね。うちも人を介しているので、ただうちの場合は半自動になってて、フィードバックの入力をしたのを元にまず自動で文章が組み合わさって排出されるようになってるんですね。ただ、そこに対してはお客様のフリーコメントとかがあるんで、それを全部目視で変えていくっていう作業。なので、自動化と人のハイブリッドでやっているっていうのが実際のところになってます。そのような形でお客さんと基本的にはデジタルでのコミュニケーションしかないのでそこでファンを作っていく。あとはそのファンづくりの指標として、うちでいくとずっとこのLTVっていうのと、いわゆる処方に対する不満足率とかそういうものが指標だったんですけど、先ほど言ったようにLTVって良いLTVと悪いLTVがあるんで、その横軸。いわゆるNPSみたいなところを取ろうよって言ったところで、そこのフィードバックのところにそういう指標を加えたりとかしていて、定性で質の良いLTVっていうところを顧客マッピングして、どう移していくかっていうのを中ではやっていたりします。
天沼 全然ずれてもいいですか?
寺田 もちろんです。
天沼 この間、マーケティングの担当役員と話をしていて、サブスクならではなのかもしれないんですけど、新しいライフスタイルのサービスなんですよね。パーソナルスタイリングを受けるっていうことも、サブスクリプションで借り放題のファッションレンタルをするっていうことも普段着をレンタルするっていう体験も結構新しいライフスタイルじゃないですか。我々いわゆる広告宣伝をするときの直接効果を各チャネルで徹底的に追って、コンバージョンからCPIから全部細かく追ってデータでこう見てたんですけど、じゃあこれ効果あんまりよくないからっていうのを削ったりっていうのをやってたんですけど、それを削ると他のチャネルも削るっていう現象が、これあのマーケターの方とかよく経験・体験してるかもしれないんですけど、これなんでかっていうと間接効果が高いチャネルもちゃんとあるということが改めて何となくわかってたけどちゃんと数字で証明でき始めてですね。
そうすると各チャネルの間接効果はどれぐらいなのか、例えば我々って無料登録をしていただいた後に月額会員に有料登録をしていくっていう段階を踏むんですけど、無料登録をするまでっていう期間とそのタイミングですよね。それから無料登録した後に、どのチャネル経由の人が有料化をいつするのか。どれぐらいの思考期間。各チャネルで。要はナーチャが効きやすいチャネルはどれなのかっていうことを結構探っていくっていうのはサブスクリプションは大事かもしれないなっていうふうには思いますね。ちょっとマーケティングっていうテーマなんで最近話してて私が盛り上がったのがそこで(笑)。
寺田 なるほど(笑)
天沼 なので間接効果をちゃんと把握していることでマーケティングの入口+ナーチャリングでどこがいちばんチャネルとして効果的なのかっていうのが実は結構違うんですよ。みんな見てると。ここがナーチャリング効きやすい。要はそういう文脈で伝えてたりするんですよ。もう一ついうとこの間これもデータ取って面白かったのが、結構な率の方がこれ実際データちょっとあれなんですけど、結構な率の方が、半年以上検討されてるんですよ。
寺田 無料登録してから?
天沼 無料登録してから有料化するまでの期間が、もちろんその半数以上の方は無料登録して有料化する人っていうのは1-2カ月の中に入りますけど、その後結構ロングテールで思い出して入ったりとか、たぶんそのSNSで見かけて「あ、やっぱり入ろう」って思ったりとか、長い時間軸での間接効果を働かせるところもあるっていうのがわかったんで、少しこれマーケティングオートメーションの一部かもしれないですけど、じゃあ3カ月後にどういう連絡をしたらいちばん聞きやすいかとか、半年後にどんなことを伝えたら入りやすいかみたいなところもそれぞれ、お客様ごとに変えて、日数だけじゃなくてどういう属性の方なのかっていうところに対してメッセージを変えていってますね。
寺田 なるほどなるほど。FABRIC TOKYOさんとかもF2、F3転換とかまで見たうえでのマーケティングのチャネル別だったりとかクリエイティブ別とかまで、逆算していろいろABテストとか変えてらっしゃるんですか?
森 そうですね。あの基本的にやっぱりLTV目線で新規も獲得しないといけないっていうふうにはみんなでやっているので、当然リピーターのところをいちばん指標に置いてるんですけど、新規の獲得っていったところもやっているのでかなりそのへんはモニタリングしてるんですけど、今、天沼さんがおっしゃってたことってすごくわかってですね、1年とか2年とか検討してるお客さんすごいいっぱいいるんですよ。それ全部もうデータ分断してわかんなくなっちゃうんですけど、じゃあ効果ないから止めるってなると、未来の認知というか、未来の顧客獲得に悪い影響がある場合もすごくあって、そのへんはまだまだテクノロジーが進化する余地があるなーとか思いながら思ってるんですけれども、まあ各社やってると思うんですけど、リード獲得をどこに置くのかみたいなところってやっぱりすごく重要だし、あとから出てくると思いますけど、たぶんCookieレス時代ってよりそれが重要になってくる。みたいなところもあるなと思うんで、やっぱり診断コンテンツだったりですとか、LINEのオプトイン、メールのオプトインみたいなところを獲得して、どうナーチャリングしていくのか。というのは結構これから各社がノウハウをしっかり蓄積していくところなのかなというふうには思いますね。
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