神奈川県小田原市、富士山を望む地に位置する「ダイナシティ」。年間売上高330億円、年間来館客数1,200万人を誇る、県西エリア最大級のショッピングセンター(SC)です。1993年の開業以来、現在はWEST、WEST ANNEX、WALK、EASTの4つの館で構成される広大な敷地には、専門店や百貨店、シネマコンプレックス、スーパーマーケットが集結。地元の小田原市内はもとより、西は静岡県御殿場市、東は平塚市まで、幅広いエリアから多くの「3世代ファミリー」が訪れる、地域コミュニティの核となっています。
顧客体験を最大化させるために、長年人流分析AI SaaS「ミセシル」をご活用し続けていただいております。どのようなデータ活用が行われているのでしょうか。
今回は、ダイナシティの運営を支える、株式会社ダイドーフォワード 販促課の竹内氏、小林氏にお話しを伺いました。
目次
3世代が寄り添う、小田原の「ダイナシティ」では年間180回のイベントを開催
―ダイナシティ様について、施設概要とお二人の役割について教えていただけますか。
小林氏)ダイナシティの年間売上高は330億円で、年間1,200万人ものお客様にご来館いただく施設です。神奈川県の県西エリアにおいて最大級の施設です。ターゲットは主に3世代ファミリー。メインとなるWESTは、かつて百貨店が入っていた経緯もあり、ファッションやコスメ、インテリアなど「晴れ」の要素が強い店舗が揃っています。ここでは年間180回以上のイベントを開催しており、地域の方々にとっての「目的地」としての役割を担っています。一方で、EASTはイトーヨーカドーさんを中心にカジュアルな店舗が多く、日常使いのニーズにお応えしています。WALKはシネコンやカフェがあり、若年層や平日のリラックス目的のお客様が多いですね。

株式会社ダイドーフォワード ダイナシティディビジョン SC事業本部 販促課課長 小林 亜衣 氏
―年間180回!それらを運営されているお二人の所属部署の役割はどういったものでしょうか。
小林氏)販促課は、外に向けた発信全般を担当しています。イベントの企画・運営から、シーズン装飾、Webサイト、SNS、広告、広報まで多岐にわたります。目的は一貫して「お客様の来館と買い上げの促進」です。
竹内氏)私は営業課と販促課を兼務しています。営業課としてはテナント様の販売支援がメインですが、販促課の実務も小林と2人体制ですべての施策を回しています。限られた人数で多くの施策を打ち出し、効果を最大化させることが常に求められています。

株式会社ダイドーフォワード ダイナシティディビジョン SC事業本部 営業課兼販促課 営業課長 竹内 功太 氏
「おそらくこうだろう」という仮説に、客観的な裏付けが欲しかった
―ダイナシティ様では、2022年から継続して「ミセシル」をご導入頂いています。導入のきっかけは何だったのでしょうか。
小林氏)以前から、パッサーカウンター(入館者数計測器)で「何人ご来館されたか」は把握できていました。しかし、単館運営である私たちにとって、自館だけの数字を見ていても「他と比較してどうなのか」「お客様がどこから来て、館内をどう動いているのか」という詳細な動向までは見えませんでした。「おそらくこのゾーンから、この年代の人が来ているだろう」「このイベントならこう回遊するだろう」という仮説は、長年の経験から持っています。しかし、それが事実なのか。もし成果が出たとしても、その理由/差分は何なのか。施策の精度を上げるための「客観的なエビデンス」を切実に求めていた、というのが導入の最大の理由です。
―導入から数年が経ちますが、現在は主にどのように活用されていますか?
小林氏)主に、イベントやキャンペーンの効果検証に活用しています。自分たちでダッシュボードを見るだけではなく、毎月メインとなるイベントを決めて、その効果検証をGROWTH VERSEのカスタマーサクセスチームにお願いしてレポートを出してもらっています。商圏の変化、滞在時間の変化、館内回遊の変化を軸に毎月検証を行うことで、担当者の「感覚」に頼っていた振り返りが、誰が見ても納得できる「数値」へと変わりました。

―振り返りのサイクルはどのようになっているのでしょうか。
小林氏)施策実施から約1ヵ月で振り返りを完了させます。月1回の定例会のような形式ではなく、施策ごとの検討材料としてデータを蓄積していくスタイルです。ダイナシティは郊外型の施設なので、日常的な顧客属性は大きく変動しません。だからこそ、特定のイベント時に「何が起きたか」を正しく捉えることが重要です。蓄積されたデータは、来期の企画を立てる際に「去年のあのイベントはこうだったから、今年はここを変えてみよう」という具体的な改善案に直結しています。特に最近は、回遊状況や滞在時間の分析を深掘りしてもらうことで、単なる数字の羅列ではない、現場で何が起きていたかという「ストーリー」が見えるようになりました。
データが覆した「想定」と、見えてきた新たな商圏の可能性
―直近の分析で、特に印象に残っている事例はありますか?
竹内氏)着ぐるみキャラクターの撮影会イベントですね。企画段階では「小さな子供連れのファミリー層が大幅に増えるだろう」と予測していました。しかし、ミセシルを使って蓋を開けてみると、ファミリー層もさることながら、子どもを持たない20-40代層が伸びていたんです。これはデータを見なければ絶対に気づけなかった発見でした。
さらに驚いたのは商圏の変化です。通常、当館に足を運ばれないような遠方の商圏からの来館が増えていました。特定のキャラクターやコンテンツには、従来の商圏の壁を越える集客力があることが可視化されたわけです。これは今後の広域集客を考える上で、非常に大きな示唆となりました。
あとは、アーティストのライブイベントも同様に印象に残っています。女性ファンをターゲットに想定していたのですが、実際には男性客も非常に多かった。おそらく、ファンである女性がご家族を連れて来館されたことで、結果的に男性の割合も押し上げられたのだと推測できます。 また、2025年9月に実施した「開館25周年×FMヨコハマ」のコラボイベントでも、ラジオというメディアの特性通り、いつもより広い商圏からお客様が来ていることが数値で証明されました。「想定通り」であることを確認できることも、次の予算を確保する上では非常に重要なプロセスです。

※図は数値/名称を修正したサンプルです。
広大な敷地ゆえの「回遊の壁」をどう乗り換えるか
―施設内の回遊についても分析されていますが、どのような変化がありましたか?
竹内氏)ダイナシティはWESTとEASTが物理的に離れており、歩くと10分ほどかかります。イベントを実施しても、この両館を横断する回遊を生むのは容易ではないだろうと感覚的には思っていました。ミセシルの分析結果でも、施設間の回遊には大きな変化が見られないことが改めて数値で示されました。 しかし、一方で「フロア間の移動」には収穫がありました。4階にあるフードコートへの流入や、20-40代の増加に伴う2階アパレルゾーンへの回遊などです。ミセシルは高さ(フロア階層)データも取ることができるので、「何階に波及したか」がわかります。この「縦の動き」を把握できるのは大きなメリットですね。

※図は数値/名称を修正したサンプルです。
―ミセシルのダッシュボード画面やレポートデータは、お二人以外の方も目にされるのでしょうか?
小林氏)販促課は2人体制でリソースが限られているため、GROWTH VERSEに作成いただいた考察レポートをそのまま活用することが多いです。年に1回のテナント総会では、出店者様に向けて現在の商圏や来館属性のトレンドを報告しています。
竹内氏)ほかには、新規テナント誘致のためのリーシングブックにも活用しています。検討中の企業様に対して、「この施設には、これくらいの商圏から、こういう属性の方が、これだけの時間滞在しています」と客観的なデータで示せることは、非常に強い説得力になりますね。
「スーパー・映画館・キーテナント」次なる一手は特定ゾーンの深堀
―今後の展望として、さらに踏み込んだ分析を予定されていると伺いました。
小林氏)はい。これからは単なる「階層移動」だけでなく、特定の「ゾーン」にフォーカスした分析を行いたいと考えています。 例えば、「スーパー」にいらしたお客様は、その前後にどのゾーンに立ち寄るのか、あるいはスーパーに来てそのまま帰宅されているのか。
映画館を利用されたお客様の、上映前後の行動はどうなっているか。 映画館の前後の時間は、施設にとって非常に大きな売上創出のチャンスです。そこでの行動を数値化できれば、より精度の高い施策に繋げられると期待しています。「キーテナント」からの回遊も同様に見ていきたいポイントです。
竹内氏)イベントがない「通常時」の分析も重要だと考えています。イベント中はお客様の動きが誘導されてしまいますが、通常時こそが「お客様が本当に動きたいルート」のはずです。そのベースラインを把握しておくことで、スタンプラリーのチェックポイント設置場所など、より自然で効果的な誘導策が見えてくるはずです。

※図は数値/名称を修正したサンプルです。
最後に:人流データの活用を検討されている方へ
―最後に、ミセシルのような人流分析ツールの導入を検討されている企業へメッセージをお願いします。
小林氏)自社のハウスカードの情報だけでは、どうしても「買わなかったお客様」や「カードを持っていないお客様」の動きが見えません。実態を正しく把握し、次の施策に繋げるための「確かな数値」が必要なとき、ビッグデータを活用しない手はありません。感覚を確信に変え、改善のPDCAを回すために、非常に強力な武器になるはずです。
―本日は貴重なお話をありがとうございました。ダイナシティ様において、長年培われた「現場の感覚」と、ミセシルが提供する「客観的なデータ」が掛け合わさることで、よりストーリー性のある精度の高い施策が生まれていることを実感いたしました。
今後予定されている、キーテナントを起点とした「ゾーン別回遊分析」は、ダイナシティ様のポテンシャルをさらに引き出す重要なステップになると確信しています。これからも「ミセシル」を通じて、伴走型のサポートを全力で継続させていただきます!
ニュース一覧に戻る